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3か国目 中国パート④シルクロードの旅(上)~トンコウ→トルファン~

中国全旅程
クンミン→成都→ラサ→シガツェ→エベレスト→ガンツェ→ラサ→ゴルムド→トンコウ→トルファン(現在地)→カシュガル→ウルムチ→成都

地殻変動をおこす社会の真っ最中で】

英国のEU離脱バングラデシュのテロ事件、加速する日本国憲法改憲への動き……
時代が大きく移り変わっていってることをどこか厭世的に眺めてしまうのは、旅の効用か。


かといってすべてのことは他人事ではない。
自分事として捉える癖を普段からもっておきたいと思う。


かつて東西の人々を結ぶ主要な交通路だった。古代ローマの発展が、イスラム諸国の発展が、波が押し寄せるかのように波及したその「足跡」をたどってみたくて今回の旅程を組んでみた。


不易の「足跡」と流行の「社会変動」が入り乱れてあたまの中がパンク状態になる。そんな状況に身をおけるのも、今回が最初で最後だ。贅沢な旅行を思う存分楽しみたい。




【トンコウの砂漠で】

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最初は砂漠のオアシスというイメージで町に入ったのだけれど、目の前に広がるのは夜空にキラメクネオンの輝き、林立するビル群、鳴り響くクラクション。

想像とのギャップに驚く。
シルクロードのまち」として観光化がすすみ、もはやそこは「資本の犬」に化けていた。

夜市をひとりでぶらついていると
バックパッカーの中では有名な隋さんに出会う。日本語が流暢な方なのでいっぱいお話しした。
今の中国の人はお金儲けのことを考えていることとか、日本の文化のこととか。


時代の流れを感じつつ
風化させてはならないものまでなくなっていってしまっている気がして、やるせない気持ちがわきおこる。




砂漠の夕日を見に行くことになり、隋さんのバイクで砂漠に向かう。目的地までは遠く、郊外までバイクを走らせること一時間。やっと砂漠にたどり着く。
その道中がたのしかった。
トンコウ特産あんずをもぎとって食べたり、ガタガタ道をはしったり。いなか町は昔の風情が漂っていて中心部のようなギラギラした感じはない。
牧歌的な雰囲気が漂い、イメージしていたトンコウを発見した。上半身裸で働く屈強な男たち。農作業にいそしむお婆さん。はしゃぐ子どもの笑顔。強烈な太陽の日差し。脇に見えるメイサザンの砂漠の山脈。
バイクは風を切って進む。
失わないで欲しいな。時代の波に飲み込まれるなよと、願いながら。


砂漠に到着した。
砂漠の上なんて、生まれてこのかた、歩いたことはない。
ふわっとしてのかな?砂浜とはまた違うのかな?色々想像がわきおこる。









ぐさり





この表現がしっくりきた。
きゅっきゅっと靴底にはまっていく感じ。
思っていたのとは少し違ってびっくりした。


砂丘の山頂にたどり着く。

山頂ほど靴が砂にめり込む。くるぶしが隠れるほどに。
砂丘の頂上にまたがるようにして座る。砂漠の馬乗りも悪くない。
目の前には紅色に空を染める太陽。
言葉にできない世界を味わう。



砂を手に掬う
太陽の熱を浴びた砂は異常に熱い。おさないころに学校で作ったサラ粉のような感じ。さらさらさらと指と指の間から水のようにこぼれる砂漠の砂たち。
空中に投げてみた。
絹が地面に落ちるようにふわっと音の無い音が鳴る。
ワンピースのアーロンがなぜか頭をよぎる。
何度も何度も投げてみた。子どもたちが水のかけあいをするように無邪気に。


無音。
あの太陽の果ての果てまで無音が続いている孤独の絶頂。
360度見渡す限り地平線。地平線の向こう側の世界も気になる。
砂丘に寝そべる。
夕暮れ時独特の青空。雲が目の前にあるみたいに近い。もしかしたら触れるかもしれないと反射的に手を伸ばす。










この世界はどこだろう。



過ぎ去るのは時間と頬にあたる生ぬるいそよ風。
自分がこのよとはちがうせかいにいる感覚がわきおこる。



ふと
日本にいたころの僕の姿が頭をよぎる。
目の前のことに一生懸命にならなきゃならない世界。あらゆる「目」がしぶんを自分の行動を規定してしまう世界。今いる世界が現実にあることを知りもしないで馬車馬のように働いていた自分の姿。


そんな過去の自分に「もったいない」と語りかけたい。その世界を知ろうとしていないことがもったいない。自分で自分に目隠ししてる状況がもったいない。必死になっていたあの頃にこの世界があったとしたら、もう少し違う心の持ち方ができたのではないか。反対にあの頃があったから今はこんな心境なのか。どちらも結果論でしかないのだけれども。


「愛の反対は無関心」
マザーテレサの言葉が砂漠を踏みしめるようにぐさりと心に響く。
もっと色々な世界に関心を示したい。
もつと自分に厳しく問い続けたい。
自分に自分で目隠しをしているのじゃないか?
見て見ぬふりをしているのじゃないか?
他人事として考えてるのでないか?
他人に過剰な期待をもっていないか?と。

自分は、まだまだ知らない世界が多すぎる。
慢心な精神を咎めてくれたトンコウの砂漠体験。
夕日が沈むとともに砂丘を下る。
そのシルクロードの「足跡」は
僕にこう語りかけている。




我々はどこから来たのか
我々は何者なのか
我々はどこへ行くのか

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                                                           シルクロードの旅(中)に続く